会長あいさつ
北部地区医師会のホームページをご覧くださいましてありがとうございます。
第7代の北部地区医師会会長に選任されました今帰仁診療所の石川清和です。皆様方へのご挨拶を申し上げます。
上地会長 宮里副会長から次期の北部地区医師会長に推薦したいとの話があった時に、大いに迷いました。60歳を過ぎて体力、知力、感受性の老化をひしひしと感じていたからです。医師会長就任を引き受ける決意をするまでには、紆余曲折がありましたが、今回は割愛させていただきます。惟、北部地区医師会員の皆様、北部地区住民の皆様には、北部地域でのより良き医療を確立するために、心からご支援をお願いしたいと思います。
数百年に一度の新興感染症のパンデミック、2020年年明けとともに始まった恐怖の新型コロナ感染症に対して、一歩も引かずにこの難局を、強いリーダーシップで見事に乗り越えてきた上地前会長始め、執行部の先生方、理事の先生方、会員の先生方、それを支えていただいた、医療従事者、事務局の皆様方、本当にお疲れ様でした。
私の任期中の2年間で 取り組みたいことは以下の3点です。
一つ目に北部地区住民の健康を守る取り組み
を妊婦から子供 青壮年 高齢者そして百寿者までつなげていきたいと思っています。妊婦健診 乳幼児健診、若者検診 特定健診 長寿検診 職場健診を受けていただくこと、健診の結果を、生活習慣改善の取り組みにつなげていきたいとおもいます。今年の5月17日に「世界高血圧の日」のイベントがありました。日本で4300万人いる高血圧症の患者さんのわずか1200万人が管理良好で、3100万人が管理不十分で、その中の400万人が高血圧を認識していない、また1200万人は治療を受けているが管理不十分、450万人は高血圧を認識していない と言われています。3100万人の高血圧を有する方が、脳心血管疾患による合併症の危機的な状態にさらされています。
6月に始まった生活習慣病指導管理料Ⅱ算定開始は生活習慣見直しと改善への取り組みを加速する、いい機会だと考えています。私達患者さんへの生活習慣指導し疾患の治療を行う医療人にも、自分自身の健康は自分自身で守るべき患者さん自身にも、目標を定め、それを定めた診療日までには達成するという計画書に お互いに署名し 生活習慣病療養計画書を作成するからです。目的を達成し、血圧 血糖 脂質の検査データが目標値に達成し自己コントロールが出来ている患者さんは、最長90日まで処方日数を延長することができます。
体を動かし遊こと、添加物のない、栄養価の高い食事をすることは子供の成長にとって 不可欠なこと、それが認識されていないことに、次の沖縄を担う子供たちの健康が危機ににさらされています。生活習慣病胎児期説がありますが、妊婦さんが食べるものが、子宮内で育つ胎児を作っていきます。次の沖縄を背負っていく子供たち含め、北部地域に住む住民の一人ひとりが、病気にならない生活習慣作りに向き合うことが重要だと考えています。
二つ目に北部の医療を守る取り組みは
2028年開業予定の基幹病院では 総合内科 一般外科を含め36科を開設する予定です。1991年に開設した北部地区医師会病院は、開設時に全科同時開業することができず、負債が大きく膨らみ、その後の病院運営の大きな足かせになってきました。基幹病院においても看護師を含めた医療従事者をどう確保するか大きな課題です。特に看護師の確保は重要です。現在北部看護学校を名桜大学法人内で運営する公立化を進めています。公立化することによって、教育環境の整備とともに、授業料を半額にすることが可能と考えています。また、北部で育つ子供たちの心の中に将来目指す職業として医療人になるという希望の種を蒔くことも大切だと考えています。私自身が中学校二年の時の先生の言葉に触発され、医者を目指すことも職業としての選択肢の一つになったからです。孔子の言葉に 15にして学に志し という言葉があります。感受性の強い、思春期までにかけて貰った言葉の重みには 測り知れないものがあると思います。また、基幹病院の医療従事者を充実させることが、会員の皆様方の医療施設での医療従事者の充実につながるとも考えています。
3つ目が北部地区の医療人を守る取り組みです。
2025年問題が目前に迫ってきました。団塊の世代が75歳に到達し、高齢者人口が急増する次年度以降、脳心血管疾患 消化器疾患 発熱 転倒・骨折などの高齢者が救急外来を受診すると想定される疾患がありますが、一部は日ごろの生活習慣で気を付けたり、かかりつけ医を持つことで、救急外来受診を回避することが可能と考えます。コロナ禍後、発熱外来での感染症拡大を予防するために診療制限が起こり、見てもらえない患者が夜間救急を受診されることもあるようです。医療界全体で外来受診に対する新たな対応の仕方が求められていると思います。
看護師を含め医療従事者の離職をどう防ぐか?も重要な課題です。過重労働や長時間労働、休暇の取り難さ、健康上の理由や職業適性の問題、人間関係等 離職の要因は様々あり複数要因が重なることもあります。それぞれの要因に向き合いながら,しっかりと対策作りに取り組んで行き、地域全体で支えていけるところは医師会としても対応していきたいと思います。
少子高齢化、近い将来想定される南海トラフ関連地震・津波、コロナ禍後の生活習慣緒変化に対する取り組み、北部で2025年に開業するテーマパークジャングリア による人材不足等難問を抱えていますが、北部地区医師会員一致団結し、取り組むことが難問解決の糸口になると考えています。SNSを使った会員の連携強化に、まずは取り組んでいきたいと思います。
公益社団法人北部地区医師会
会 長(代表理事)石川 清和
(今帰仁診療所 所長)